研究活動 骨・運動器疾患研究室
室長 齋藤 正伸
脊椎手術支援レーザーガイダンスシステムの有用性の研究
今年度は、前年度より臨床使用を行っているレーザーガイダンスシステムの更なる改良を行うため、システムのgraphical user interface(GUI)の改良を行い操作の簡略化および操作時間の短縮を試みた。改良したシステムの有用性を確認するため本システムガイド下に腰椎後方進入椎体間固定術12例48本の椎弓根スクリュー刺入を行った。これにより、実際の手術場環境における術中操作性の向上およびシステムの安定性を確認した。
また頚椎・胸椎椎弓根スクリューへの応用を行うため、レーザーガイダンスシステム専用術具の開発・作成を行い、レーザーガイダンスシステム上で利用できるように開発した手術機器のCADモデルを実装した。
骨折整復ロボットの開発および臨床使用に向けての基盤的研究
本年度は、骨折整復支援ロボットの自動モードを使用して、実際の大腿骨頚部骨折患者の骨折整復を行った。71歳の男性患者の計測結果を示す。右大腿骨転子間骨折に対する整復時に骨折整復支援ロボットの足部固定具に備えた6軸力覚センサにかかる力・トルクを計測、それらを記録した。
骨折整復に必要な牽引距離は70mmであった。下肢牽引に伴い、牽引力が急激に上昇し、徐々に定常化する。骨折整復に必要な最大牽引力は180.3Nであった。骨折整復に必要な回旋角度は35度、下肢回旋に伴い、B軸のトルクは急激に上昇するが、すぐに低下している。 C軸のトルクは徐々に上昇している。 骨折整復終了後は力トルクの大きな変動は認められなかった。
この装置を使用することで今まで検討できなかった整復時の移動距離・力・トルクが上記のように簡単に記録することができた。これらのデータが、より正確な整復操作のデータが得ることができる可能性がある。
来年度の課題として、二次元透視装置を使用して骨折整復操作のデータ収集を行うと同時に、正確な骨折整復の判断に、三次元透視装置を使用する方法、イメージガイダンスシステムを使用する方法を検討中である。
人工股関節ソケットの磨耗の研究
耐摩耗性を向上させるためポリエチレンへガンマ線照射された人工股関節ソケットの磨耗量を、骨頭径の磨耗量に与える影響を調べるため、対象を26mm骨頭と32mm骨頭の2群にわけてin vivoで経時的に計測を行っている。ポリエチレンの変形やレントゲン画像から体積磨耗計測ソフトを用いて計測するための誤差は、手術後3年を経過すると無視できることがわかってきた。現時点では症例数は少ないものの、26mm群の磨耗は平均0.126mm/年、32mm群では0.142mm/年で有意差は無い。今後、さらに症例数を増やし、経時的に磨耗量を測定する研究を継続する予定である。
3次元動作解析装置を用いた脊椎上肢機能評価
光学式三次元位置計測システムを用いて日常生活動作に於ける頚椎―上肢の動きの解析をおこなった。昨年度までの研究で、本システムは頚椎と上肢が関連する日常生活を評価するのに有用であることがわかった。しかし、その動作解析は、頚椎、肩関節、肘関節の3つの動きしか評価していなかった。本年度は、光学式三次元位置計測システムを用いて頚椎を固定した時の前腕、手関節を含めた上肢全体の解析を洗髪、洗顔、食事動作に於いて、健常者を被験者として行った。
頚椎を前屈位から後屈位へと伸展させていくと、肩関節の屈曲角度が増える傾向が認められた。それに対して、肘関節には大きな変化はなく、いずれの頚椎固定肢位に於いても、肘関節は最大屈曲角度を要していた。また、今回の研究では、前腕の回内外、手関節の掌背屈に一定の傾向は認められなかった。
今後、関節リウマチのように多関節障害がある患者において、同様の評価を術前、術後に行う予定である。そして、関節リウマチのように多関節障害がある場合、障害されている動作を改善するために、どの関節の可動域をどの程度改善すれば良いかを、術前に予見することが可能かどうかを検証したい。

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