1名の病理医と3.5名の臨床検査技師で業務を行っています。
病理医は
日本病理学会病理専門医、
日本臨床細胞学会細胞診専門医、
国際細胞学会認定サイトパソロジスト(Cytopathologist)の資格をもち、3名の技師は
日本臨床細胞学会認定細胞検査士、3名の技師は国際細胞学会認定細胞検査士(CTIAC)の資格を持っています。また、1名の技師は
日本臨床検査同学院認定2級臨床検査士資格(病理学)を有しています。
当部門では患者さんから生検などで採取した組織や細胞から標本を作り、この標本を顕微鏡で観察して、その組織や細胞がどんな病気からのものかを診断する病理検査を行っています。
病理検査部門で行う検査には大きく分けて次の4つがあります。
■生検組織診断
胃・大腸・肺などの内視鏡検査時や皮膚などの生検で採られた組織は通常ホルマリンで固定され※、種々の工程を経て3-5μmの薄さの組織片が作られスライドグラス上に載せられます。この薄い組織が載ったスライドグラス(図1参照:大腸ポリープの組織標本)はヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)など様々な方法で染色されて標本ができあがります。病理医はそれを顕微鏡で拡大して見ることで、採られた組織が病気の組織か否か、病気だとすればどんな病気なのかを診断します(図2参照:図はHE染色での大腸ポリープの組織)。その結果は臨床医に伝えられ、患者さんには手術が必要なのか、お薬でよいのかなど、治療方針を決める参考資料とされます。
※組織はホルマリンに入れておくと硬くなり、細菌の繁殖が起こらないため、長期保存が可能となります。
図2 大腸ポリープの組織像(ヘマトキシリン・エオジン染色)
■手術で摘出した臓器・組織の診断
手術で摘出された臓器や組織は、ホルマリンで固定され、病理検査部門に提出されます。病理検査部門では、提出された臓器や組織をまず肉眼的に詳細に観察し、必要な部分をスライドグラス上に載る大きさに切り出します。それから、生検組織のときと同じように組織標本を作製します(図3参照)。それを病理医が顕微鏡で見て、診断をすることになります。この場合、病気(ガンなど)の種類の診断だけでなく、その病気がどのくらい広がっているのか、リンパ節に転移があるかどうかなども合わせて診断します。この情報を参考にして、臨床医(主に外科医)は、患者さんのその後の治療方針を決めることとなります。
図3 パラフィンブロックを作製しているところ。手前にパラフィンブロックが見える。
これは手術中に採られた患部の組織を手術中に標本作製し、診断する技術で、病理医が居る病院でのみ行うことができます(遠隔病理診断装置が設置された病院では例外的に病理医の居ない病院でも行えます)。通常の組織検査では、ホルマリン固定された組織を種々の工程を経てパラフィンの中に埋め込み、これを薄く切って組織標本を作製しますが、標本が出来るまで、通常1-2日を要します。
術中迅速診断ではこれを15-30分位で行うために、手術中に採られた生の組織を-30℃以下の低温で急速に凍らせます。これにより3-5μmの薄さに組織を切ることが可能となります(図4参照)。この組織をスライドグラスに載せて、固定し、染色して標本を作製します。これを病理医が顕微鏡で見て診断し、その結果を手術室の臨床医に伝えます。
術中迅速診断は、手術で切除する組織の端に癌細胞がないかどうか、リンパ節に転移がないかどうか、病変の組織がどのようなものなのか(ガンかガンでないかなど)を知るために行われます。これは、手術で切除する組織の範囲やリンパ節を採る範囲を決めるのに利用されます。
術中迅速診断の標本をうまく作製するためには病理検査技師には経験と技量が要求されます。また、作製された標本も通常の方法で作製された標本に比べみづらいため、診断する病理医にも経験と技量が要求される難しい検査です。
図4 迅速組織診断のため凍結切片を作っているところ。
組織検査は、検体を採る時に出血や時には痛みを伴うこともあります。それに対し細胞診は検体として、子宮頚部からこすって採取した細胞、尿中の細胞や気管支鏡を行った際に気管支からこすって採取した細胞、胃・十二指腸の内視鏡検査の際に胆汁液が流れる胆管や膵臓のなかにあり膵液が流れる膵管をこすって採取した細胞、乳腺や頚部のこぶを作る病変に細い針を刺して採取した細胞などを用います。そのため出血はまったくないか、あってもごく少量です。痛みも全くないか、あっても組織検体を採る際に比較したらはるかに少ない、患者さんに優しい検査です。細胞診の検体は直接スライドガラスに塗り、アルコールで固定して、5種類の色素を用いるパパニコロー染色を施すのが一般的です(図5参照)。この検査はまず、日本臨床細胞学会認定細胞検査士により、1次的なスクリーニングが終わった後、日本臨床細胞学会細胞診専門医または日本病理学会病理専門医により診断されます。細胞診検査は組織の一部の細胞で病変がどのようなものか推定するので、細胞検査士、細胞診専門医ともに深い知識と経験が要求される難しい検査でもあります。現在日本では細胞診に関して一定の基準を満たした病院は
日本臨床細胞学会認定施設になっており、当院も認定されています。
図5 子宮頚ガンの細胞診顕微鏡像(パパニコロー染色)
治療を尽くしたにも関わらず不幸にして患者さんが亡くなられた際に、臨床医が病理解剖をお薦めすることがあります。これは生前患者さんの病気の診断が難しかった場合、また臨床医の予想した患者さんの臨床経過より早くお亡くなりになった場合などに診断を確定したり、死因を明らかにしたりする目的で行われるものです。ご遺族の承諾のもとに病理医、臨床検査技師、臨床医がその任にあたります。ご遺体の各臓器の状態について肉眼的、顕微鏡的に調べて死因を明らかにします。肉眼的な解剖の概要は臨床医に直ちに伝えられ、ご遺族に説明されます。顕微鏡での検査を加えた最終報告には数ヶ月を要します。患者さんの解剖で得られた病気の貴重なデータは大切に保管され、臨床医などの研鑽、教育のために生かされ、医学の発展に寄与することとなります。