当院の臨床検査部病理診断部門は、1名の病理医(日本病理学会病理専門医)と4名の臨床検査技師(2名の国際細胞検査士CTIACを含む)で業務を行っています。当部門では患者様の病変から採取した組織や細胞から標本を作り、それを顕微鏡で観察して、どのような病気であるかを診断しています。これを病理診断といい、的確な診療や治療を行う上で欠かせない役割を持っています。病理診断には大きく分けて次の4つがあります。
胃や大腸カメラなどから採られた生検組織は、さまざまな方法で染色して標本化します。病理医はそれを顕微鏡で観察して、まず採られた組織が悪性かどうか、そしてどのような状態の病気なのかを診断します。その結果は今後の治療方針を決める資料とされます。手術で摘出された臓器も同じように検査され、その病気の進行具合を肉眼的・顕微鏡的に確認します。また、近年ではがん細胞の遺伝子を調べて、抗がん剤治療における分子標的治療薬の効果の判定も行います。
図2 大腸ポリープの組織像(ヘマトキシリン・エオジン染色)
通常、組織診断をするには早くても2~4日を要します。術中迅速診断は名称のとおり手術で採られた組織を手術中に病理診断する方法です。術中迅速診断では、手術で切除する組織の端に癌細胞がないかどうか、リンパ節に転移がないかどうかなどがわかります。これにより、手術で切除する組織の範囲やリンパ節を採る範囲を手術中に決定できます。
図4 迅速組織診断のため凍結切片を作っているところ。
組織検査は、検体を採る時に出血や時には痛みを伴うこともあります。それに対し細胞診は検体として、婦人科検診や尿中の細胞,皮膚の外側から乳腺や甲状腺などに注射針で吸引して採取した細胞などを用います。そのため出血も痛みもまったくないか、あってもわずかです。細胞診検査は顕微鏡で細胞を観察することにより、どのような疾患かを推定します。当院には細胞診断医1名と認定細胞検査士4名が常時在籍し、
日本臨床細胞学会の認定施設になっています。
図5 子宮頚ガンの細胞診顕微鏡像(パパニコロー染色)
治療を尽くしたにも関わらず不幸にして患者様が亡くなられた際に、臨床医が病理解剖をお薦めすることがあります。これは生前患者様の病気の診断が難しかった場合、また臨床医の予想した患者様の臨床経過より早くお亡くなりになった場合などに診断を確定したり、死因を明らかにしたりする目的で行われるものです。ご遺族の承諾のもとに病理医、臨床検査技師、臨床医がその任にあたります。患者様の解剖で得られた病気の貴重なデータは大切に保管され、臨床医などの研鑽、教育のために生かされ、医学の発展に寄与することとなります。